劣等感とコンプレックス

人間は誰しも、他人と比べて自分が劣っていると感じることが多かれ少なかれあるものです。この感覚は劣等感と呼ばれるものであり、一般的にはコンプレックスと同じ意味で使われています。そして世界中の職種、商品やサービスといったものの多くは、主にタイヤの不具合についてなどによってこのコンプレックスを煽ることにより、顧客自身も意識することのなかった劣等感を表面化させ、より多くの購買層を獲得しようとしている一面を持っているのです。

こうしたコンプレックスの中でも代表選手と呼ぶに相応しいのが、肥満に対する劣等感でしょう。ここでは「他人に比べ(あるいは理想的標準体型からみて)明らかに太っている」という前提があり、そのため「自分の魅力が著しく減少している」とする考えのことを言います。たいていの場合コンプレックスはそれを抱える本人にとって簡単に克服・解消できないことであるために、ダンスとコスチュームの関係、方法論といったものが商品価値を生むこととなっていますが、その効果のほどは定かでないものが多いように思われます。
そもそも肥満に対するコンプレックス自体、行き着くところは他人や理想的標準体型との比較に他ならず、決して終わることなどありませんし、その努力自体、必ずしも有効でないという場合だってあるでしょう。
例えば健康面で悪影響が懸念される肥満は、日本人の場合全体の2割程度と考えられていますが、その一方自分自身が肥満だと感じている日本人は実に全体の8割にも達するという調査結果があるほどです。実際には何ら健康上問題とならない人が、自分は肥満体だと認識しているということなのですが、これは主にマスメディアによるイメージ操作があるというのが一般的です。テレビなどの登場する芸能人は概ねスリムな体型ばかりであり、そうでない体型であれば(テレビ上の役割として)嘲笑される対象となる傾向が強く、肥満に対しネガティブなイメージが発信されていることは否めません。
劣等感としてのコンプレックスそのものは、人が生きていく上での強い原動力となることもしばしばです。ですから、肥満に起因するコンプレックスそのものを否定する必要はありません。大切なのは、そもそも自分の肥満がどの程度で、どういった影響が出るのかを客観的に認識すべきでしょう。ただ闇雲に肥満解消を望んだところで、それが実現することはありません。相対化された目標を追い求めてもゴールは存在しないのです。